孤独死を身近な問題として考えている人は少ないでしょう。身内で経験したことがなければふりかかってくるものではないと、軽く考えてしまうものではないでしょうか?孤独死とゴミ屋敷は、深い関係性があることはあまり知られていません。超高齢化社会に生きる私たちは、ゴミ屋敷で亡くなってしまう孤独死の実情にも目を向けてみる必要があります。「ゴミ屋敷がどうして孤独死までも招いてしまうの?」という率直な疑問も浮かんでくることでしょう。
この記事では、孤独死とゴミ屋敷の関連性・ゴミ屋敷が孤独死を招く4つの原因・ゴミ屋敷を防ぎ孤独死から大切な人を守る5つの対策をまとめています。
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ゴミ屋敷で孤独死してしまうのは他人ごとではない
高齢者の居ない世帯や若い人にとっては、ゴミ屋敷での孤独死の問題は無縁のように思ってしまうのではないでしょうか?しかし、他人ごとでは済まされないところまで来ているのが日本の孤独死の問題です。ゴミ屋敷の現状や孤独死の後に行われる特殊清掃、孤立者が増加している背景をもう一度、身近なものとして見直してみましょう。
日本の孤独死は年間約26,000件と推定
内閣府が取りまとめた資料(東京都福祉保健局東京都監察医院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」)では、平成15年から比べると2.5倍にも死亡者数は増加しています。
年度 | 死亡者数 |
平成15年 | 1,451件 |
平成20年 | 2,211件 |
平成25年 | 2,878件 |
平成28年 | 3,179件 |
この資料と全国の人口動態統計データを参照して、是65歳以上の孤独死者数の推定をニッセイ基礎研究所が出しました。それによると、年間で26,000人もの方が孤独死していると推定されています。これは、衝撃の数字と思えてなりません。
私たちの身近で知り合いや祖父母、両親などを孤独死で亡くした経験が無いにしても、これほどの数の方が孤独死していると推測されるのは、それだけ孤立している高齢者世帯が多い社会背景が大きく影響していることを強く突き付けられます。
孤独死が発覚しその後に行われる特殊清掃とは?
孤独死とは、誰にも最期を看取られることなく死後数日経過して発見されるという印象を持っているでしょう。現に、東京都監察医務院の死後経過日数別の自宅住居死亡単身世帯者数構成割合(平成30年)で死後経過日数を見ても明らかです。
死後2日から7日までの構成割合が男女共に高くなっているのが分かります。
死後経過日数 | 男性の構成割合 | 女性の構成割合 |
0~1日 | 14.0 | 22.5 |
2~3日 | 25.0 | 35.0 |
4~7日 | 20.0 | 19.0 |
8~14日 | 14.0 | 11.0 |
15~30日 | 14.0 | 7.0 |
孤独死となった場合には、その後の悲しみの深さももちろんですが、遺族や近しい人により特殊清掃の依頼が必要になります。特殊清掃の現状は、遺品整理業者や特殊清掃業者が対応していますが、想像を絶する過酷な現場なのです。以下のような清掃作業が行われています。
- 体液が床・基礎まで浸透
- 強烈な腐敗臭
- 害虫駆除
- 消臭作業
- オゾン脱臭
深い悲しみにありながらも、遺族は「原状回復をどこまで行ってもらえば良いのか?」「請求費用がどれだけかかるのか?」という困惑にも直面するのです。
孤独死後の特殊清掃では、
- 残置物の回収
- 確実な消臭
- 汚れやシミの除去
ができていれば原状回復と認めてもらえるのですが、業者の品質によっては徹底的な消臭が行われていないとオーナーから判断され、損害賠償の請求に発展されることもあります。後々、トラブルにならないためにも、特殊清掃業者は確かな技術に加えて法的なアドバイスを行ってもらえる弁護士などの紹介もできるところが望ましいでしょう。
日本の社会的孤立者の傾向
日本は、かつてのような二世代、三世代が一緒に住む家庭も激減してきており、核家族化も顕著になりました。さらに、未婚の単身者世帯も増加しています。隣に誰が住んでいるかも分からないため、近所づきあいも希薄になっているのです。年齢を重ねるに連れて、病気や生活苦などのさまざまな事情も起こり、社会とのつながりが無くなってしまうことで、孤独を感じていてもすぐに頼れる人がいない暮らしが長くなってしまいます。
ゴミ屋敷問題の通報と相談|効果的な通報とは│不用品回収ならすぐ片付け隊
ゴミ屋敷が孤独死を招く原因
特に高齢者の場合には、ゴミ屋敷に住み続けることが孤独死を招く原因になります。ゴミ屋敷での暮らし向きだけで即座に孤独死と結びつかないのでは、と考える方もいるかもしれません。私たちが思う以上にゴミ屋敷と孤独死は、深い関連があることを考えておきたいものです。
- 体力や気力の衰えに加え認知機能も低下
- セルフネグレクトの状態
- 子どもの住まいが遠方
- ゴミ屋敷は火災やケガのリスクが高い
このような原因から、ゴミ屋敷と孤独死は関連性が高くなっています。それでは具体的になぜゴミ屋敷による影響で孤独死へと繋がってしまうのか、それぞれの原因を見ていきましょう。
体力や気力の衰えに加え認知機能も低下
ゴミ屋敷になってしまう原因で多いのが、体力や気力の衰えです。高齢になり病気や足腰の衰えがあると、片付けをしようにも支障が出てきて部屋が散らかっていき、やがてはゴミ屋敷となってしまいます。さらに、認知機能が低下することで食品の購入や調理がいつも通りに出来なくなってしまうことから、使い切れなかったり同じものを買いこんだりしてゴミが増えてしまいがちです。
セルフネグレクトの状態
ゴミ屋敷の原因になっている「セルフネグレクト」は、よく耳にすることが増えました。「自己放任」と解釈され、生活環境や栄養状態が普通ではない状態でも、正して行こうという気持ちすらなく、周囲へ救いを求めない状態にあることを示します。信じられないかもしれませんが、入浴、食事、排泄といった当たり前のこともいつもの通りにしなくなってしまうのです。それによってさらに体調が悪化しても、病院へかかるということもありません。食事がおろそかになり体調悪化しても病院へも行かなくなるため、最悪の場合にはゴミ屋敷で孤独死を迎えてしまうこともあります。
子どもの住まいが遠方
実家から遠く離れているところに子どもが住んでいる場合、親の異変に気付きにくくなります。親の体力・気力などが衰えて普段通りの暮らしができづらくなっていることの発見が遅れがちです。たまに電話を入れる程度では、親は子どもとの会話では「元気にみせよう」という意識が働き、顔を見合わせないと分からないことが実はたくさんあるのです。親の置かれている状況に子どもが気づかなかったことで、ゴミ屋敷となってしまう可能性は高いと言わざるを得ません。
ゴミ屋敷は火災やケガのリスクが高い
ゴミ屋敷に住んでいることは、それだけで火災やケガのリスクを高めてしまいます。うず高く積み上げられたゴミが倒壊すれば、ケガをしてしまうでしょう。床が見えないほどにゴミが散乱していれば、物につまずいて転倒すると骨折の可能性も充分考えられます。
物が多く埃が溜まっていることで、コンセントからの火災も心配されます。ひとたび出火してしまうと、ゴミで埋め尽くされているため家中に火の手が及んでしまうでしょう。
ゴミ屋敷化を防ぎ大切な人を孤立死から守る対策
ゴミ屋敷化してしまうと、このような危険と常に隣り合わせの暮らしをしていることになります。ただでさえ、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯では、だんだんとできないことが増えてくるため、子どもにとって心配は尽きません。以下のような5つの方法で、ゴミ屋敷を防ぐことが重要です。
- 見守りサービスを利用する
- 訪問サービスを利用する
- 通所サービスを利用する
- 頻繁に一人暮らしの親に連絡をする
- 近隣でゴミ屋敷化の気配があれば行政に連絡をする
大切な人を孤独死から守るためにも、今できる対策をすぐにでも取りましょう。
見守りサービスを利用する
高齢の親と離れていると、食事や掃除など日常生活にかかわることから詐欺などのトラブルへの不安など挙げればきりがないほどあるでしょう。そのような時には、見守りサービスの活用をすると離れていても子どもは親の状態を知ることができます。以下のタイプがあり、見守りサービスの選択肢はさまざまです。
- 訪問
- センサー
- オート電話・オートメール
- カメラ
- 宅配
見守りサービスは、セキュリティー会社、郵便局、生協などが実施しています。高齢者の状態に合わせて、上記の中から使い分けたり併用したりももちろん可能です。センサー・オート電話、オートメール、カメラは危機を活用したサービスであるのに対して、スタッフを介しているサービスが訪問、宅配のタイプです。それぞれ一つずつ「訪問+カメラ」のように選んでも良いでしょう。
訪問サービスを利用する
身体の機能が落ちてきて家事や買い物に支障がある場合には、介護保険の訪問サービスを利用することも検討しましょう。介護度に寄りますが、以下の訪問サービスを受けられるようになり、掃除・洗濯・調理・買い物・ゴミ出しなど生活支援をヘルパーに行ってもらえます。必要に応じて、入浴・着替えなど身体に触れるサービスの利用もできます。
- 生活支援
- 身体介護
通所サービスを利用する
孤独にならないために、デイサービスなどの通所サービスの利用も可能です。孤独から気力や認知機能の低下を招いてしまうので、サービスを利用することでスタッフを始め複数の利用者との会話ができ、認知機能の低下を防ぐことも目指せます。デイサービスにいきなり通所するのは、正直抵抗があるという高齢者も少なくありません。そのような場合には、体験デイサービスといって数時間だけ体験を利用してみるのも良いでしょう。
頻繁に一人暮らしの親に連絡をする
できる限り一人暮らしの親に連絡を取ることは必須です。定時に電話をかけると、生活のリズムができるという利点もあります。可能であれば、帰省する機会を増やすことも検討してみましょう。先ほど紹介したサービスを利用していると、担当のヘルパーやケアマネージャーに親の様子についての問い合わせや相談もできます。
近隣でゴミ屋敷化の気配があれば行政に連絡をする
もし近隣でゴミ屋敷化している印象を受ける家があれば、行政へ連絡を入れることも大切です。助けを受けたくても自分では動きようがない高齢者が、もしかしたら住んでいるかもしれません。
ゴミ屋敷化ではなくても、マンションやアパートでポストに新聞や郵便物があふれるほどになっているなら、その一室の住人が動けなくなっている可能性もあるため、管理会社や大家さんへ連絡を入れましょう。
ゴミ屋敷の傾向があれば早い段階で業者に依頼する
すでにゴミ屋敷の傾向が見られるなら、業者を依頼することで早い解決を目指しましょう。高齢者の孤独死と密接な関係にある「ゴミ屋敷」の対策をしっかりと取れるようにするには、自分たち家族だけで抱え込まず、業者の利用を視野に入れる場合もあります。
周囲の人・家族がゴミ屋敷を自分たちで解決するには困難を伴う
ゴミ屋敷は、周囲の人や家族で解決を目指すには、時間や労力、手間も相当な負担がかかってしまいます。ご説明したように、ゴミ屋敷に住んでいることで高齢者にはさまざまな危険性と隣り合わせの日々を送っているわけです。子どもがゴミ屋敷の片付けを行う時間が確保できなかったために、ケガや病気を招いてしまうこともあり得ます。危険性を少しでも早く取り除くためにも、不用品回収業者にゴミの片付けを行ってもらうのが賢明な選択です。
大家様、不動産管理会社様へ
借主様が夜逃げをしてしまった、急にいなくなってしまったなど管理業務を行う中でゴミ屋敷と化した部屋のお片付けも必要になることもあるかと思います。
わたしたちは、ゴミ屋敷の片付けもお手伝いさせていただいておりますのでご相談くださいませ。
一部、一般廃棄物とされる物に関しては市区町村の指示にしたがい一般廃棄物処理許可業者に依頼することもございます。
大切な人の命を守るためにもゴミ屋敷問題の改善は早めに行う
「たかがゴミでは死なない」などと掃除ができない時の指摘として言うこともありますが、それは、一時的に散らかっている時だからこそ言えることです。大切な人の命を守るためには、ゴミ屋敷の問題を軽んじることは決してできません。「ゴミが散乱している」「物があふれている」という状態になっている家の変化は、居住者の心身の不調のサインかもしれません。高齢の親が住む家で、何か異変が増えて来たと思ったら、ゴミ屋敷への入り口に差し掛かっているかもしれません。
すぐ片付け隊では、毎月ゴミ屋敷のお客様からご相談頂いております。まずは、遠慮なさらずご相談をいただき状況を教えてください。大事な方を守る行動を一緒に進めてまいります。皆様からのご連絡をお待ちしております。