なぜ高齢者の家はゴミ屋敷化しやすい?原因と対策を知り被害を未然に防ぐ!

ゴミ屋敷

ゴミ屋敷の写真や報道を見ていても、特別なケースだと考えがちではありませんか?実は、高齢者はゴミ屋敷化になる原因を複数抱えています。あなたの実家や知り合いの家が何となく雑然として来ている気配があれば、ゴミ屋敷の傾向が出ている可能性もぬぐいきれれません。ゴミ屋敷は、想像以上の被害が起こり得る難しい問題です。孤独死という最悪の事態も、今の日本では多数報告されています。そのためにも、高齢者の住まいをゴミ屋敷にしないための対策は急務です。

今回は、高齢者の家がゴミ屋敷になる原因・ゴミ屋敷が引き起こす被害・高齢者の住まいをゴミ屋敷にしない対策を紹介して行きます。

高齢者の家がゴミ屋敷になる原因は?

高齢者

そもそも、なぜ高齢者の住まいがゴミ屋敷になりやすいのでしょうか?急にズボラになって片付けも掃除もしなくなるのは、自分の親に置き換えてもそんなに生活リズムが急変するとはどうも想像しづらいものです。高齢者が自宅をゴミ屋敷にしてしまう原因は、色々とあります。

片付けの判断が認知症によりできなくなる

ゴミ屋敷を作り出してしまうのは、認知症の発症と深い関係があります。これまで、ゴミの判断ができていた方でも、認知症のために判断ができづらくなったり、良い時と悪い時があったりして、ゴミを収集日に出すのができにくくなってしまうのです。

ゴミの分別が分からなくなることで、違う種類のゴミを同じ収集袋に入れることもあり得ます。また、認知症は日時・曜日の認識ができなくなり、ゴミ収集日と正しく理解できず、出すことすら忘れてしまうこともありがちです。

若い世代でもゴミの分別はゴミカレンダーを確認しないと分かりにくいゴミもあるぐらいですから、高齢者にとれば正しいゴミ出しがだんだんとできにくくなる素因はもっているともいえるでしょう。

病気発症や気力や体力の低下によるもの

高齢になると病気の一つや二つは誰でも持つため、身体的な支障からゴミ出しや掃除ができづらくなります。足腰が弱ることで、日常生活動作を維持するだけでも痛みや不自由さを伴うため、だんだんと掃除や片付けをしたくても頻度が減っていくばかりです。

筋力が衰えるだけではなく、視力や聴力も衰えてしまうので、自然とやる気が落ちてしまうのも高齢者に良くみられます。掃除や片付け、ゴミ出しができなくはないけれどどうも気力が落ちてしまい、若い頃のようにはできなくなって気落ちしてしまうことは、年齢を重ねるに連れて顕著になってしまうのです。

セルフネグレクトによるもの

高齢者の住まいがゴミ屋敷になりやすい原因の一つには、「セルフネグレクト」があると言われています。気力や体力、認知機能が衰えると自分がいつも通りの生活を送るための行為をしなくなってしまうのです。セルフネグレクトは、以下のような行為を行わなくなってしまいます。

  • トイレで排泄をする
  • お風呂に入る
  • 外出・通院をする
  • 食事を摂る

当たり前に行ってきた行為をしなくなることで、セルフネグレクトからゴミ屋敷を作ってしまうことは少なくありません。ゴミ屋敷になることが、問題だけではなく生活を維持するための行為をしなくなることで、孤独死を招いてしまう危険性が高いことが重要な問題です。

精神疾患によるもの

高齢者の家のゴミ屋敷化に強く影響するのが、認知症以外でも精神疾患があります。認知症やアルツハイマーだけではなく、他にも考えられる疾患を上げておきましょう。

  • ためこみ症
  • うつ病
  • 統合失調症
  • ADHD
  • アルコール依存症

物を捨ててはいけない心理が働く

ゴミ屋敷になってしまう高齢者の心理では、「物を捨ててはいけない」という心理が自然に働いてしまいます。これは、物のない戦時中や戦後を経験していることも大きく関わっていると考えられるでしょう。そのため、不要なものでも「いつか使いかもしれない」「置いておけばいつか役に立つ」と思ってため込んでしまうのです。もったいないという気持ちが、若い世代とは比べようもないほどに強いので、どうしてもゴミ屋敷化を加速させてしまう傾向になってしまいます。

人に頼むと迷惑がかかるという思い

高齢者にありがちなのが、自分ではできにくくなったことやできないことを人に頼むのは迷惑をかけているという思いが強いことです。自分のことはできるだけ自分でしなければならないという気持ちの強さも持ちあわせています。そのため、子どもや親しい人にゴミ出しや片付けなどできない部分を何とかできないかと頼むこともしません。

それが、返って無理を重ねてしまうことになり、病気の悪化や気力の低下を引き起こしてしまい、周囲の人への助けを求めないがためにゴミ屋敷を作ってしまうわけです。

ゴミ屋敷が招く被害に注目

転倒した高齢者

さて、高齢者の自宅がゴミ屋敷になると、どんな被害が実際に起きてしまうのかについて注目してみましょう。

火災・転倒・病気の発症

まず、ゴミ屋敷の問題で危険性の高いのが火災です。たまった埃がコンセントにもかぶさって、引火をしたために火災になってしまうと、ゴミがたくさんあるので家中に燃え広がってしまうでしょう。たとえ、住人が火災に気づいたとしても足の踏み場もないほどのゴミで、逃げ遅れる可能性も高くなります。

次に、転倒の問題もかなり危険性が高くなります。平坦な床面でも高齢者は筋力が弱りバランスを壊して転倒することも珍しくありません。さらに、足元がゴミで覆われていると、転倒のリスクは格段に増します。これによって動けなくなることで、人との付き合いがないとそのまま孤独死へと至ってしまうことも少なくありません。

そして、害虫や悪臭で不衛生極まりない環境は、病気を引き起こしやすくなってしまいます。

食べ物・飲み物の残りからゴキブリやネズミの発生を招き、ゴミで埋もれた環境では徹底的な退治もできにくいことから、変質したものを食べてしまうことも充分あり得るでしょう。病気になったとしても、自分で病院を受診しようと思わなくなってしまいさらなる悪化に陥ってしまうわけです。

孤独死のリスクを高める

ゴミ屋敷が本格化すると、当たり前の暮らしが維持できなくなり孤独死のリスクを高めてしまいます。特別な環境の人や面倒くさがり屋の人だけがゴミ屋敷を作ってしまうと考えられていたのですが、今や超高齢化となり人間関係の希薄さもあることから、孤独死は誰の身に起こるかもしれません。ゴミ屋敷の問題は、孤独死とも深い関連があることから、自治体ではゴミ屋敷条例を制定しているところもあるくらいです。

誰かが手を差し伸べることで、ゴミ屋敷になるのを防ぐこともできます。ただ、残念なことにゴミ屋敷の問題にかかわるのが遅れてしまうと、孤独死という重大な被害を被ってしまうのです。

特殊清掃が必要になる

ゴミ屋敷での孤独死は、遺族や知人・友人など周辺へ深い悲しみと後悔の念を感じさせてしまいます。助けを求めたくても求められなかった高齢者の苦しみを察すると、どれだけ悲惨な状況か胸を引き裂かれるようでしょう。そんな心境に置かれていても、特殊清掃が必要になるのは確かです。孤独死してしまった住居を、原状回復するためには遺品整理業者や特殊清掃業者へ依頼をするしかありません。

  • 特殊清掃の費用がどれくらいかかるのか?
  • 原状回復の清掃でオーナーが納得しない場合、どうなるのか?

こうした悩みも、遺族らにはのしかかってくるわけで心理的な問題も根深く続きます。

近隣住民へ与える被害

ゴミ屋敷によって住人だけではなく、近隣住民への被害も以下のようにいろいろとあります。

  • 悪臭
  • ゴミの散乱
  • 害虫の発生
  • 火災の懸念

さらに、孤独死が起こり発見されるまで日数がかかってしまった場合の心理的なストレスも、近隣住民にとっても小さいとは言えません。

高齢者の家をゴミ屋敷にしないために私たちができる対策

高齢者を支える手

ゴミ屋敷になると、深刻な被害が起きてしまいます。しかし、ゴミ屋敷を未然に防ぐためには私たちができる対策があるので、取り組んで行けるとこをから始めてみませんか?

親・知人の場合

まず、親や知人がゴミ屋敷の傾向がある時、どう対応したら良いのか説明します。

親(知人)に納得してもらって片付ける

ゴミの片付けや掃除をする際に、家主である親や知人に納得してもらってから片付けを進めるのがコツです。たとえば「こんなゴミを取っておいてどうするの?」などと勝手に捨ててしまったら、相手はどう感じるでしょうか?はたから見ればゴミに見えても、本人にとれば大事なものかもしれません。そのためにも、たとえ親といっても子どもは勝手に処分するのではなく、納得をしてもらうためにまず説得をしましょう。

お互いが同じゴールを共有できることで、片付けは上手く進みやすくなります。

ゴミ屋敷の危険性を理解してもらう

ゴミ屋敷がどれほど危険な状況にあるのかを、親(知人)に理解をしてもらいましょう。特に高齢の親は、環境の変化をあまり好みません。「なぜ、ゴミを処分して片付けをするのか?」の明確な理由の一つに、安全な暮らしをしてもらうことが挙げられます。

  • 転倒のリスクを下げる
  • 衛生的な暮らしで健康被害から守る

上記のように「危険から親を守るためにも、片付けやゴミの処分をしたいんだ」という気思いを伝えてみてください。

手助けする人がいることを分かってもらう

ゴミ屋敷化する傾向にある住民は、人に頼んではいけないと思い込みがちです。ましてや、ゴミの処分を人にやってもらうなどと思いもしません。実際に、ゴミの処分がつらくなり先延ばしにしているうちに、さらに捨てられなくなることはありがちです。手助けする人間がいることを分かってもらうことも、大事な一歩です。別世帯の子どもでも、定期的にゴミの廃棄を手伝うこともできるでしょう。生活に支障があれば、生活支援サービスを利用することもできます。必ずしも、自分だけの力で何とかしなければならないわけでもなく、手助けする人は見つかることも分かってもらいましょう。

一ヶ所から片付けて心地よさを体感してもらう

先ほども伝えましたが、高齢者は急激な環境の変化に順応しづらい面を持っています。ゴミの片付けや部屋の整理を進める時には、一気に行うのではなくキッチン、居間、寝室など一ヶ所から片付けることで、心地よさを徐々に体感してもらうのがおすすめです。

整理整頓ができて物が収納されたきれいな部屋よりも、高齢者には手に届きやすく一目で分かりやすい収納の部屋の方がだんぜん楽に暮らせます。本格的なゴミ屋敷になる前に、一部屋ごとに片付けていくと、暮らしやすさを親が身をもって感じてもらえるのが理想です。

帰省や訪問で孤独感から高齢者を守る

掃除や片付けをしなくなってしまうのは、家に人が来なくなることが原因にもなります。「誰も来ないから、少々散らかっていても構わない」となるのは、誰もが思い当たるのではないでしょうか?そのためにも、実家への帰省、知人宅への訪問を増やすようにしてみましょう。また、介護保険サービスや見守りサービスを活用すると、日常的に人の訪問があるため、認知機能の低下も予防できます。高齢者の孤独感を守るためにも、帰省や訪問をできるだけ増やす対策を取るようにしましょう。

近所の住民の場合

一方、近所の住民でゴミ屋敷の傾向がある時には、どう対応したらよいでしょうか?

苦情は落ち着いて話す

近隣住民がゴミ屋敷化していれば、自分の家にも健康被害や悪臭被害などが及んでいると考えられます。そうなると、冷静に苦情を伝えることは難しいものです。しかし、ケンカ腰になり苦情を言えば、さらに逆鱗に触れることでトラブルを悪化させる可能性も高くなります。逆上した近隣住民が、反発してどんな危害を与えるかもしれません。

できる限り、苦情は落ち着いて伝えるように努めましょう。感情的な言い方になればなるほど、険悪なムードは強くなります。

ゴミ屋敷条例についても行政へ相談

住民の住まいのゴミ屋敷化で困っているなら、お住まいの自治体にゴミ屋敷条例があるか問い合わせましょう。近隣住民のゴミが公道にはみ出していれば、行政が対応することもできます。

高齢者への普段から声かけや挨拶をする

高齢者が孤独から少しでも守るためにも、近隣で声かけや挨拶を心がけるようにしましょう。直接、ゴミ屋敷化を食い止めることに役だつわけではありませんが、声かけをすることで、孤独感を軽減できるようになる一助になります。離れて暮らす親が、近隣の方から声かけをしてもらうことで人づきあいがわずかでもできていれば、子どもにとって嬉しい気持ちになるでしょう。同じように、身近な高齢者に挨拶を交わす程度なら少し意識を変えるだけでもできるのではないでしょうか?