いざという時のために消火器を常備している方は多いと思いますが、使用期限が切れたり腐食していたりした場合は処分しなければいけません。とはいえ、消火器は頻繁に交換するものではないため、処分方法に迷う方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、要らなくなった消火器の処分方法について詳しく解説していきます。また、消火器の処分費用や処分する際の注意点などもお伝えしますので、参考になれば幸いです。
消火器を処分する4つの方法
消火器は、平成17年よりリサイクルすることが義務付けられており、自治体にごみとして処分することができません。そのため、以下の4つの方法で消火器を処分する必要があります。
- 特定窓口で処分を依頼する
- 指定取引所に持ち込んで処分してもらう
- ゆうパックで回収を依頼する
- ホームセンターで下取りに出す
それぞれ処分の手順が異なったりメリット・デメリットがあったりしますので、あなたに合った方法を見つけてみてください。
特定窓口で処分を依頼する
特定窓口とは、日本消火器工業会が『防災・防犯事業者』または『販売代理店』に消火器の保管や回収を委託した場所のことです。全国に約5,200ヵ所ほどあり、持ち込みまたは回収をお願いすると処分ができます。
特定窓口の場所は消火器リサイクル推進センターのホームページにて確認可能です。処分の際にはリサイクルシール代と消火器の保管代が必要で、回収を依頼する場合は別途で運搬費がかかります。
場所によっては回収依頼ができない場合があるので、事前の確認は必須です。
指定取引所に持ち込んで処分してもらう
指定取引所は全国に約200ヵ所あり、日本消火器工業会が指定した場所で『消火器メーカー営業所』や『廃棄物処理業者』が役割を担っています。
指定取引所は、自分で持ち込む代わりに運搬費がかかりません。消火器の保管代は指定取引所によってはかからない場所もあります。
注意点を挙げるとしたら、指定取引所の中にはリサイクルシールを取り扱っていないエリアがあることです。持ち運んだらすぐに処分してもらえるよう、事前にシールの購入をおすすめいたします。
ゆうパックで回収を依頼する
自宅付近に特定窓口や指定取引所がない場合は、ゆうパックを利用して消火器の回収を依頼するのがおすすめです。消火器リサイクル推進センターのホームページ内にある『ゆうパック専用コールセンター』に電話予約することで申し込みができます。
ゆうパック窓口で依頼をすると、自宅に消火器を発送するための専用BOXが届きます。専用BOXに消火器を梱包し発送すれば処分してくれるので、あまり手間がかかりません。
ただし、ゆうパックは個人の方(家庭用)のみ対象となっており、法人での利用はできませんのでご注意ください。また、離島など地域によってゆうパック利用が対象外の場合もあるので問い合わせの際に確認をしてみましょう。
ホームセンターで下取りに出す
多くのホームセンターでは、新しく消火器を購入すると古い消火器を無料で下取りしてくれるサービスを実施しています。「要らない消火器を処分後に新規購入を検討している」という方には打ってつけの方法です。
ただ、新規購入したからといって必ず下取りしてくれるわけではありません。消火器の種類や状態によっては引き取り不可となることがあるのでお気を付けください。
また『処分する消火器と同じ本数・大きさのものを購入すること』といった下取り条件を提示している店舗もあるので、店員に聞いてみましょう。
消火器の処分費用
消火器を処分する際にはリサイクル費用がかかります。特定窓口や指定取引所などでリサイクルシールを購入して消火器に貼り付ける必要があります。
ただし、消火器がリサイクルの対象となった2010年1月以降に販売されているものには、最初からシールが貼られているため購入の必要はありません。つまり2009年以前に販売された消火器を処分する場合のみ、リサイクルシールを購入しなければいけないということです。
リサイクル費用以外にも、処分方法によって保管費や運搬費などがかかってきます。消火器の大きさによって費用が変わることもあるので、事前にしっかりと費用を把握しておきましょう。
特定窓口の処分費用
消火器を特定窓口にて処分する場合は、リサイクルシール費用以外に保管費がかかります。自分で特定窓口まで持ち運びせず回収を依頼する場合は別途で運搬費が加算されます。
リサイクルシールの費用は業者によって前後しますが、1枚約500~550円ほどです。特定窓口まで持ち運んでも1本約1,500円前後で回収してくれます。
特定窓口の業者に自宅での回収を依頼すると運搬費込みで約2,000~3,000円ほどになります。小型の消火器であれば1,000円前後で処分してくれることもあり大きさによって様々です。
特定窓口で処分する場合の費用相場 | 1,500円前後(持ち運びの場合) 約2,000~3,000円(回収を依頼する場合) |
指定取引所の処分費用
指定取引所は特定窓口とは異なり保管費は必要ありません。また、自分で消火器を引取所まで運ぶため運搬費もかからずに済みます。ですので、指定取引所で処分する時の費用はリサイクルシール費用のみ(約500~550円)となります。
「費用を最小限に抑えたい」という方におすすめですが、指定取引所は全国に約200ヵ所ほどしかありません。指定取引所がない県もあるので、事前に消火器リサイクル推進センターのホームページで場所を確認しましょう。
なお、ゆうパックを利用して処分する場合は、送料も含めて約2,000~2,500円ほどが相場となっています。
指定取引所の処分費用相場 | 約500~550円 |
消火器を処分する時の注意点
古くなった消火器を処分する際、誤った操作をすると破裂してケガや事故に繋がる恐れがあります。特に損傷や変形、腐食した消火器を処分する時には注意が必要です。
以下に、消火器を処分する時に気を付けるべき点を3つ解説していますので、参考にしてみてください。
損傷や変形している消火器は分解・使用しないこと
消火器本体が腐食・損傷・変形していた場合、絶対に使用・分解をしないでください。腐食した部分は、圧力に耐えられず破裂する危険性があります。
近年、腐食した消火器を処分しようとレバーを握った瞬間に破裂するという事故が相次いでいます。ですので、処分する際はむやみに消火器に触れず、特定窓口や指定引取所に相談しましょう。
また、損傷や変形していない消火器であっても、耐用年数(家庭用5年・業務用10年)が過ぎた消火器は使用せず早めに処分してください。
安全栓の有無を確認すること
古くなった消火器を回収する際に消火薬剤が漏れないように、安全栓が締まっていることを必ず確認してください。消火器には安全栓があるものとないものがあるのでよくチェックしましょう。
安全栓がある場合 | ストッパーがしっかり固定されるように安全栓をセットする |
安全栓がない場合 | ストッパー部分をガムテープなどでしっかり固定する |
もし、中身の消火薬剤が漏れていた場合はビニール袋に入れておきましょう。
消火器の品目を事前に確認しておくこと
実は消火器の種類によっては、処分ができない場合があります。リサイクル処分可能な消火器は、基本的に国内で造られたもののみとなっています。
海外で造られた消火器やエアゾール式の消火具は処分の対象外となっていますので、ご注意ください。対象外の消火器処分に関しては、お住いの自治体が定めるルールに従うか製造元・販売元に問い合わせをして確認しましょう。
消火器を長持ちさせる方法
消火器には、家庭用なら5年、業務用なら10年が耐用年数と定められています。ただ、消火器の保管方法や設置場所を間違うと、耐用年数が経過する前に悪くなってしまいます。
以下に消火器を長持ちさせるコツをご紹介していますので、今後、新規購入を検討している場合は参考にしてみてはいかがでしょうか。
消火器の上から袋を被せる
消火器は樹脂でコーディングされていますが、本体は鉄でできています。そのため湿気が多い場所などに置くと、錆びが原因で消火器に穴があき消火薬剤やガス漏れすることがあります。
消火器を湿気から守るために、上からビニール袋を被せて保管しましょう。
水の近くや湿気のある場所には置かない
消火器は火元となる場所の近くに置きますが、特に台所へ置く方は多いかと思います。しかし、台所のような水回りは湿気が多く腐食や錆びが進行する原因となります。
また、台所に設置すると油汚れが付いて腐食が進み、消火器の塗装がはがれたり錆びたりする恐れがあります。
ですので、高温多湿の場所は避け、風通しが良くて見やすい場所に設置するようにしましょう。